人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画/『コクリコ坂から』

映画/『コクリコ坂から』_c0184546_0315082.jpg友人と見る約束だった作品がレイトショーでやっていなかったので、急遽予定を変更して見てきました。
今月は大作がいくつも公開されてるからなあ~。「ハングオーバー」もう1回見たかった…。

1963年の昭和の横浜を舞台とした古き良き時代の青春物語。
港街の坂の上にある下宿屋で家族と下宿人の面倒を見ている女学生の松崎海と、学生の中心的存在で学生新聞の編集長をしている1学年上の男子学生の風間俊との淡い初恋と友情、学生が集う由緒ある建物の取り壊しを巡る学生紛争を軸にストーリーが展開していく。

女学生の海(あだ名はメル)の父親は船乗りだったが朝鮮戦争で亡くなっている。しかし、メルは毎日船乗りだった父親のために信号旗を上げ続けていた。メルは知らなかったが、船で通学する俊はその信号旗に返事の旗をあげていた。ある日2人は出会い、やがて惹かれ合うのだが、2人の間には本人達が知らない隠された秘密があった…といった内容。

すごく不思議な映画だな~というのが最初の感想。ファンタジーではなく現実の世界を舞台としているのですが、1963年というとリアリティがありそうでない時代。戦後の混乱や学生運動、高度成長期などの社会情勢、細かいところで言えば「~であります!」「貴様」などの言葉遣い、肩を組んで合唱する軍人のような歌唱スタイル。記憶の中にはあるものの、実際には体験、経験していないので、「どこかリアル。でもどこかファンタジー(正しくはアンリアル?)」な感覚でした。きっと「ALWAYS/3丁目の夕日」を見たら同じような感覚になるのかもしれませんね。見てないですけど(^^;)。これは大人のためのアニメ映画ですね。“あの頃”を懐かしむ、懐かしむことが出来る映画じゃないかな。

戦争や学生の論争などが背景に出てきますが、悲観的・過激的な描写はなく、さらっと描かれていて、出て来る人物はみな慎ましく清らかで爽やか。ドロドロしていないので心穏やかに見れて後味さっぱり。
初恋話も取り壊し話も、おそらく多くの人がそうなって欲しいと願う展開でオチがつき、しこりを残すことなくエンディングを迎えられました。ちょっとさっぱりし過ぎじゃないかと思うほどにさっぱり清々しい。主題歌の歌声も透き通っていて、より作品に透明感を与えているような気がします。



個人的には、思春期真っ只中の2人にとってはおそらく天地がひっくり返るほどの劇的な事実の告白であるにもかかわらず、バックに軽快な音楽が流れていたのがすごい気になりました。何も仰々しい音楽を流せと言うわけではないのですが…。日常の何気ない会話のひとつのようにサラサラと流れていき、俊曰く「安いメロドラマ」のような事実も淡々とした印象でした。あえてそう見えるようにしたのかな…?

俊も海も、誰に恨みを向けるでもなく自力で自分の感情を振り切って、それでもなお一緒にいることを選び微笑み合えるって、すごい精神力だなと思ったりです。なんというポジティヴ。まさに「上を向いて歩こう」。昭和の子達は強い子達なんだな~。

劇場のチラシ、主要キャストの声が岡田さん&長澤さんであること以外前知識がまったくなかったので、主人公の女学生の名前はメルなのか海なのか。海なのになぜメルと呼ばれてるのか。
学生が下宿屋を切り盛りしているのだから、てっきり両親はいないものと思ったら母親はいるらしいが、どこで何をしているのか分からない。そのうち、ひょっこり帰ってくる。でも何してる人か分からない。など、設定がよく分からず、作中に出て来る描写を自分なりになんとなく解釈して、なんとなく受け入れて見てました。

声に関してですが、長澤さんはご本人の声と分かりますが、岡田さんは「これホントに岡田くん?」と思うほど、ワタシの記憶にある声(TVやドラマなど)とは違ってて、ずっと気になって自分の記憶と一致させようとして聞き入ってしまいました。大きな声や力の入った声になると岡田さんの声って分かるんですけどね。

長澤さんは最初出て来た時は硬くて抑揚のないフラットな声でしたが、これもジブリ作品ならでは味だな、と思ったりです。
演出でとにかく無愛想にというリクエストがあったそうですが(どこかのインタビューで言ってた)、それ以上の声の硬さを感じていたのですが、ワタシの耳が慣れたのか長澤さんがアフレコに慣れたのか定かではありませんが段々気にならなくなりました。

岡田さんは違和感なく見れたのですが、水沼もなかなか自然で配役が気になっていたのですが、ジブリはエンドロールが短く、しかも配役は出ない(^^;)。後で調べてみたら風間俊介さん(ジャニーズJr.)だとか。ああ、そういえば彼の名前もありましたね。

by norarican | 2011-07-25 00:50 | 映画