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映画/『アウトロー』

映画/『アウトロー』_c0184546_212689.jpgトム・クルーズ主演の話題作。2/1に公開されて早々に見に行くはずが気付けば10日も経ってました。早いねー。

先日トムも来日して、あちこちで話題になってる作品ですが、一応簡単にあらすじを。

川辺で白昼起きた無差別狙撃事件。6発の銃声と5人の被害者。現場に残された証拠から、警察は早々に容疑者の身柄を確保する。容疑者は、元軍人で狙撃兵のジェームズ・バー。検事のロディンと警部のエマーソンは、バーに無駄な裁判を省いて、死刑か自白かの選択を迫る中、バーは「ジャック・リーチャーを呼べ」と要求。ジャック・リーチャーとは何者なのか?
警察が身元を調べるが、バーと同じく元軍人で憲兵だという経歴は分かったが、運転免許やカードなどIDの記録が一切無く、2年前の除隊以降所在が不明だった。この“ゴースト”のような流れ者をどう探すか。思案していたところに、当の本人ジャック・リーチャーが現れる。

しかし、移送中に暴行され昏睡状態になったバーを見たリーチャーは、そのまま去ろうとする。検事、警部、リーチャーが顔を揃えているところへ、バーの弁護士で検事の娘・ヘレンがやって来る。ヘレンは、リーチャーに「事件について疑問はないのか?」と尋ね、「その謎は私の調査員になれば解ける」と持ちかける。
実はバーは、以前派遣先で狙撃事件を起こしていて、リーチャーが捜査を担当していた。バーは、すぐさま自白したものの、被害者の4人が軍事関連企業の一員で、現地で何十人もの女性を集団でレイプしていた犯人達だったため、バーは処分を受けたが、事件は公にならず隠蔽されていた。しかし、今回の事件ではバーは自白せず、リーチャーを呼んだことが引っ掛かっていた。

利害の一致で、リーチャーは弁護側の調査員として独自に事件を調べ始める。すると、バーの犯行にしては不可解な点がいくつも浮かんできた。やがて、リーチャーとヘレンは事件の裏に隠された真相に気付く…なお話。

リーチャーは容疑者の身の潔白を証明するために現れたヒーローではなく、容疑者が再び罪を犯したと知り“正義”を果たしに来たわけです。容疑者からしてみれば死神でしょうか。

※ネタバレ含みます。ご注意!

見終わってまず思ったのが、1シーン1シーンが微妙に長くて画も単調で、やや間延びした印象で、全体的に淡々としてたな…でした。特に長いと思ったのが、悪党の制裁場面。そこそんなに時間使う必要ある?長々ともがき苦しむシーンの後、1発でケリつけるって。どうせ始末するんだから、さっさと殺っちゃえばいいのに。

キャラクターに関しては、ジャック・リーチャーはアウトローなんだけど、アウトローらしさがあまり感じられなかったかなぁ。法とは無縁、証拠は無視、正義に生きる…が思っていたほど強く感じられなかったし、元軍人の凄腕捜査官なところも言うほど感じられなかったんですよね。記憶力バツグンだからメモもペンも不要で、捜査能力はかなり高いんだけど、そのすごさがあまり伝わってこなかったのが勿体無い。
もっと“アウトロー(無法者)”で良かったんじゃないかな?だけど、出会った人達に情をかける優しい人情派で、そのメリハリつーかギャップみたいなのがハッキリしてれば、もっと魅力的なキャラクターになったと思うところ。トム自身のカッコ良さの範囲から抜け切ってない気がするんだよなぁ。
作品の雰囲気も、もっとハードボイルドにするか、もっと淡々とするか。色々な“もっと~”があったかなー。



 
冒頭、狙撃事件が発生してから容疑者が確保されるまでは、テンポも良かったし、緊迫感もあった。これから何が起きるのか?照準鏡越しに見える光景に、誰が選ばれてしまうのか?!と、この作品の中で1番ハラハラした場面。
これは原作があるから仕方ないんだろうけど、狙撃犯が誰なのか?は明かさずに進んだ方が面白かったんじゃないかな?前知識があったせいか、冒頭でいきなりネタバレされて「えっ…?」だったんですけど…。せっかくそれまで意味深にピンポイントで映しておいて、犯人の顔バッチリ映っちゃった時はビックリした。いや、そこ謎にしといた方が良かったんじゃないかな?観客も一緒になってリーチャーと事件を捜査して、事件に隠された真相に気付けば、驚きもあって良かったと思うんだけど、初っ端からある程度ネタバレされちゃってるので、観客は1人で地道に捜査を進めるリーチャーを見守る立場になってたのが、淡々とした印象の一因かもしれない。

序盤のアクションシーンは、相手が5人とはいえ所詮チンピラなので元軍人のリーチャーには赤子同然。ガタイが良くて粋がる若いチンピラを、ちょっと小柄な中年男(だけどムキムキなんです)が簡単に倒すのは、やっぱカッコイイしスカッとした。
中盤の見せ場であるカーチェイスは、スタントではなくトム本人が演じていることもあって、なかなか迫力ありましたが、派手な場面はそこくらいかな。車のエンジン音とかがかなりすごくて、そっちに気がいっちゃってたっていう話も。
ラストの銃撃戦は、リーチャーも丸腰で体張って頑張ったけど、一方的にバババと撃って休み、バババと撃って休みが続いて単調で淡々としてるし、狙撃の腕がポイントになってるからか広範囲だし、でも人数少ないしで、意外と静か(笑)。かと思えば格闘で圧勝したり1発で片がついたりで、功労者は元海兵だよね、ていう。

敵も、目的のために何人も殺して、巧妙な罠で人をハメて、権力も味方につけて、冷酷非情で不気味な雰囲気を醸し出していたわりには、あっさりしてた。あのラスボスは、なんで恐れられてたんだろうか?

あと、リーチャーを尾行していた人物が手にしていた物から、結構早い段階であることに気付いてしまうんだけど(何度も映るから)、人物的な伏線がなかった(と思う)ので、すごく唐突感があった。理由が気になるところなのに、本人は「そのうち分かる」ともったいぶったまま逝ってしまうので、結局分からずじまい。なんだよ、もー。金か?金なのか??
何も、ものすごいアクションとか派手なことを望んでるわけじゃなくて、もう少しテンポ良く展開して、もう少しジャック・リーチャーという人物を掘り下げて描いて欲しかったし、見たかった。

前宣伝では、トムの新たなシリーズ(キャラ)誕生か?!と言われてましたが、個人的には、シリアスなスペシャリストはイーサン・ハントにお任せして、「ナイト&デイ」のようなスペシャリストだけど、底抜けに明るくて陽気なキャラで対抗した方がいいんじゃないかと思います。完全にワタシの好みですけど。

でも、トム・クルーズはカッコイイし、肉体も衰えてないし、所々でハッとするほどのオーラを放っていて、やっぱり彼は大スターになるべくしてなってるのだと改めて感じたし、ストーリーや作品の雰囲気は好きな部類なので、リピートして見ると結構クセになるかも。

……と、ここまでは初見の感想。
実は、短期間で2度目を見に行くことになりまして。やはりトム映画は、見ておきたいと思う人が多いようで。まったりした作品だったので、2度目はどうだろ?!と、期待と不安を胸に鑑賞してみたのですが…。
「もっとトムがアウトローでいいと思う!」と、「1シーン1シーンが長くて、面が単調」は、変わりなかったですけど、淡々とした印象は初見ほど感じられませんでした。場面の長さは、ほんの少し、セリフをカットするとか走る長さを変えるとか、するだけで違うと思うんだけどなー、とド素人が言ってみます。でも、「あれ、意外と悪くないかも?!」てのが率直な感想。

初見はストーリーを追うことに意識がいってたけど、2度目は他にも目を向けることができたので、「あれ、リーチャーの魅力が意外と描かれてたね。意外とクセになるね」てオモタ。
で、2度目で1番気になったのは、エマーソン警部の銃の扱いと構え方がぎこちないこと。そして、構えるのが遅い。マニュアル通りの型で、新人刑事ならありだけど、警部でそれじゃ撃たれてると思う(相手にナメられて)。
でもって、リーチゃーの敵役はまもなく公開される「ダイハード」最新作で“世界一運の悪い男”の息子もやってます。

by norarican | 2013-02-13 23:12 | 映画